7月28日に熊本地域を襲ったマグニチュード7.1の地震により、ルネサスエレクトロニクスの川尻工場では壁にひび割れが生じ、水漏れが発生し、純水供給が停止したため、生産停止を余儀なくされた。同社は8月5日から段階的に再稼働を開始し、約29日でウェーハ投入能力をフル稼働に戻すことを目指すと発表した。
被害と再稼働
地震により川尻工場では壁のひび割れや水漏れが発生し、チップ製造ラインに不可欠な純水供給が一時停止した。ルネサスは今回の影響を受けたウェーハ数については明らかにしていないが、8月5日から段階的な再稼働を予定している。ウェーハ投入能力のフル回復は約3週間(約29日)以内を見込む。
同じ地震地帯にある近隣の西工場は、地震発生からわずか3日後の7月31日には地震前の能力に回復した。この迅速な回復は、川尻工場の被害がより深刻だったことを示唆しているが、ルネサスは生産への影響の程度を詳しく明らかにしていない。
過去の教訓
川尻工場が地震に見舞われたのは今回が初めてではない。2016年にも同工場で同様の地震が発生し、ウェーハの35%が生産停止となり、売上高は140億円減、営業利益は80億円減となった。当時、フル能力回復には35日を要した。ルネサスは2011年の震災後、川尻工場を含む各工場の耐震等級を引き上げるため約100億円を投じたが、2026年の地震でも生産停止を余儀なくされた。
同社は車載用マイコンの主要サプライヤーであるため、長期にわたる供給停止は、これらのチップに依存する自動車メーカーに影響を及ぼす可能性がある。今回の回復期間は29日で2016年の停止期間より短いものの、依然として供給に大きな穴が生じる。
市場の反応
地震後の数日間、ルネサスの株価は下落したが、当初の下落は地震だけが原因ではなかった。株価は地震前の7月28日に10.45%下落し、これはアジアの半導体株全体の売りに連動したものだ。7月29日にはさらに8.43%下落したが、8月3日には同社が好調な第2四半期決算を発表したことで13.45%急騰した。
8月10日時点で、ルネサスの終値は3,825円となり、地震前の水準をわずか1.1%下回るにとどまった。第2四半期の業績は堅調で、非GAAPベースの売上高は24.9%増、営業利益は前年同期比44.4%増となった。また、同社は9カ月間の業績予想を発表し、さらなる成長を見込んでいるが、この見通しに地震の影響が織り込まれているかどうかは不明だ。
TipRanksが追跡するアナリストは依然として上昇余地があると見ている。彼らは「ストロングバイ」のコンセンサスを維持し、平均12カ月目標株価は5,720円で、8月10日の終値から約49%上昇する水準だ。
法的な懸念材料
8月11日、Navitas Semiconductorはルネサスに対して特許侵害訴訟を提起し、事業回復に法的な懸念材料が加わった。訴訟の詳細は当初の提出書類では開示されなかったが、投資家にとって同社を注視するもう一つの理由となっている。
当面の焦点は川尻工場の再稼働だ。ルネサスは9カ月間の業績予想に地震による生産損失を織り込んでいるかどうかを明らかにしておらず、Navitasの訴訟がさらに状況を複雑にする可能性がある。今後数週間で、工場が計画通りフル能力に戻るかどうかが明らかになるだろう。




